美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「あの……。聞くのが遅くなりましたが、神崎さんはお付き合いしている方はいらっしゃらないんですか?」

 しばらく返事がない。びっくりして顔を上げると、彼はこちらをにらんでる。

「どうしたの?」

「どうしたのじゃない。お付き合いしている人がいて君をデートに誘うのか?なんだそれ?君はそういう男と付き合って来たのか?」

「そんなわけありません」

 私はびっくりして彼に手を振った。

「じゃあ、なんだ。僕がそういう人間だとでも?名取の様に二股をすると?」
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