美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「神崎さん」

「とにかく、君と仕事でもいいから繋がりがほしかった。名取のものになるかもしれないと思ったらぞっとした」

「……そんな、名取さんとはそんなじゃないですよ」

「あいつは君をそういう対象としても見てる」

 私は息をのんだ。彼がアイスティーを回しながら下を向いて話す。

「でもね、僕は君の独立への気持ちを聞いた時から、君を自分のものにするにはそれしかないと思ったんだ。あの時は無意識だった。でも今思えば下心があったのかもしれない」

 彼が目を上げた。じっと私を見つめた。真面目な目だ。
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