美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 私は付き合いだしてようやく彼を意識しだしたので、電話で声を聞けないのは寂しかった。

 あれから三日。

 椎名さんが店に現れた。前回お試しで作ったオフィス用のアレンジなどをそろそろリニューアルするにあたり、話し合うためだった。

 彼は椎名さんがここへ来ると聞いて自分も行くと騒いだそうだが、どうにもならないほどの仕事があり、泣く泣く諦めたそうだ。

 店は伯母に任せ、椎名さんを奥へお通しした。ここは一応寝起きができるように小さいが二部屋作ってある。リビング兼小さなダイニングに彼を通した。

「すみません、こんなところにお通しして……」
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