美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

雑音


 金曜日の夕方、彼からメールがあった。

「ようやく仕事のめどがついた。夜一緒に食事をしよう。この間行ったホテルの店に予約をしておくから、少し遅いが20時くらいに待ち合わせしよう」

「はい、わかりました」

 ホテルはビジネス街にある。私は近くて行きやすい。彼はそれも考えてくれているんだろう。

 きちんと着替えて行ったら、約束の時間の5分前になっていた。間に合って良かった。

 彼の名前を言うと、店の人が驚いたように私を見て、席へ案内してくれた。この間と同じ席。海の岬まで見える一番奥の席だ。
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