美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「ここリザーブしてないのに大丈夫なの?」

「していたよ。こちらに移るかもしれないと言ってあった」

「え?」

「皆大抵ディナーは18時くらいからだ。20時は遅い。少し客がはけたかと思ったんだがだめだな。今日は金曜日だったから人が結構ある」

「蓮さん」

「周りの目がうるさいのはここ最近いつものことだ。仕事の時も会食でこちらに移ることが多い。ざわざわするからうるさくてね。ただ、眺めはあちらにかなわないんだよ」

 確かに、先ほどの席は海が本当によく見える。そして浜がずっと先まで見通せるし、空もよく見えるのだ。
< 189 / 403 >

この作品をシェア

pagetop