美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「それに、僕の横に立つ人が決まれば、自然とそれもなくなる」

「……蓮さん」

「皆、君の座る席に誰が来るか好奇心で見たかっただけだ。自分がそこに座りたいと考える人まずいないよ」

「何を言っているの。椎名さんも言ってた。縁談断るのが大変だったって……」

「ああ。だから椎名は祝福してくれただろ?そうじゃなかった?」

 私は昼間の椎名さんの姿を思い出した。確かに笑顔で祝福し、逃げないでと言ってたっけ。これを意味してるの?

 黙って食べだした私を見て、蓮さんは言った。

「そんなことより、久しぶりに顔を見て話が出来た。どれだけ会いたかったと思ってんだ」
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