美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「そうなんですか?いつ?」

「おとといだ。あちらの本社の近くで会合があってね。少しだったが会ってきた。君とのこと話してきた」

「そんな、勝手に……!」

「さくら……君を紹介される前から僕らは近しい友だ。しかも、君はあいつの会社の一社員。報告するのは僕の考えもある」

「名取さんはなんて言ってましたか」

「やっぱりなと言われたよ。いいんだ、何を言われようとも。とにかく、あいつにはきっぱりと諦めてもらう」

 何言ってんの?名取さんは私なんて眼中にない。言い方は悪いけど、遊びならあったかもしれないけれど……。

「それは取り越し苦労ですよ」
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