美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

変化のきざし

 
 店を出ると彼は私を浜辺に誘った。二人で月夜の下を歩いた。

 さっきの彼の独立を促す言葉に私は即答できなかった。正直まだ早い。考えさせてほしいと頼んだ。

 彼はいつでも相談してと言ったきり、その話をやめた。

 手を繋いで彼と砂浜を歩いた。静かだ。波の音しかしない。

「そういえば、花火の日のクルーザーの件は決まりましたか?」

「ああ、決まったよ。もうすぐ告知される。きっと予約がいっぱいになって相当売れるだろうな」

「そうですね。ホテルだけじゃなくて、新しい楽しみ方ができるし、今年の花火大会は盛り上がりますね」
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