美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「芹那……名取の推薦だったよな。苗字はなんだ」

「林さんです。林芹那さん。以前こちらに住んでいたこともあるそうです」

 彼は少し黙って考えている。なんだろう。

「さくら、伯父さんのことが落ち着いたら色々相談しよう。早めに決めたほうがよさそうだ」

「え?」

「まあ、いい。君はふたつのことをいっぺんにはできないタイプだな。結構目の前のことを一生懸命になってやる。恋愛もそうだろ?僕一筋だ」
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