美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
「……何かありました?」
彼の表情に含むものがあった。私は嫌な予感がした。
「いや。もうこの話はおしまいだ」
そう言うと、彼は私の手を引いて甲板に出た。日が沈んできていた。海に日の光が映えて綺麗だ。
彼は私を抱き寄せ、私は彼の肩に頭を乗せながらその夕日が落ちていくのを見守った。
「日が落ちる瞬間に願い事をひとつしようか」
「……なにを?」
「俺の願い事はさくらと一緒にいられること。それだけだ」