美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「ああ、綺麗だ、さくら……夢にまで見た……やっとだ」

「ああ!」

 彼に私はついていくので精一杯だった。しばらくはお互いしか見えなかった。

 ちょうど、バスローブ姿で彼は水を飲んでいたところだった。

 バン、パーン!バン、バン、パーン!

 外から音がしだした。花火が上がったのだろう、対岸のほうから人の声もする。

「さくらもこれを着て」

 私にもバスローブを羽織らせる。そしてふたりで甲板へ出た。
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