美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 彼女は元々このベリが丘出身で、父親が議員となって引っ越していった。

 僕は彼女に興味はなかったが、大学時代彼女は僕を中学時代から知っていたと言った。

 最初、言い寄られたときも正直驚いた。私と付き合ってほしい、ではなくて、試しに付き合ってみない、と聞いてきたのだ。

『父が神崎君のおうちの仕事に関係する省庁の担当になりそうなの。神崎君、おうちの仕事継ぐんでしょ?』

 それだけを言った。僕が好きだからとかそういうことではなく、利害関係を最初からちらつかせ誘って来た。

 彼女の周りにはその美貌と背景を知る男性が大勢いた。
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