美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
父は息子の僕から見ても美男子だ。母が父におちたのはわかる気もする。
ゆったりと足を組んで報告書に目を通している。
僕はそろそろいいかと思い、声をかけた。
「父さん、縁談の件ですが断っていただけましたか?」
父は眼鏡をはずしてチェストに置くと、僕に目を移した。
「蓮。具体的に言ってほしいね。どの縁談だ?」
この人は意地が悪い。
縁談のことでお前に迷惑をかけられていると行く前も散々な言いようだった。