美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 彼女はため息をついた。

「店長の口からいつ聞けるかと待ってたのに。お客様、特にノースエリアの方はSNSでご存じの方が多いらしいですよ。おふたりが蓮さんの行きつけの店に何度か二人きりで現れているのを噂しているようです。私、何回か聞かれましたから……」

「うそ……」

「まさかご存じなかったんですか?お客様から聞かれていない?」

「……聞かれてないわ」

 彼女はうちのインスタをだしてコメント欄を見せた。

『この店の店長とベリが丘の玲瓏皇子とデートしているところを発見!』
『神崎造船のインスタの花、この店のものだよね。匂わせ?』
『蓮様はパトロンなの?もしかして……魔性の女』
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