美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 彼女はエプロンをはずして髪をほどくとこちらを見ながら言った。

「……あ、言ってませんでしたっけ?彼は大学の同窓です。もともと知り合いなの。というか、私の追っかけのひとりだったんだけど、今はお互いいい意味で利用し合う関係です」

 驚きすぎて声が出ない。大学の同窓?どこかで聞いたような……え?確か、蓮さんと名取さんも……。

 じゃあ私より年上でキャリアもあるのに我慢して下についていたの?

「うふふ。じゃあ、お先に上がらせてもらいます。明日はよろしく」

「……ちょ、ちょっと待って」

「何?」
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