美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 あの日、芹那さんが言い残した言葉にうちのめされた。

 言われて初めて痛感した。あまりに考えなしだった自分を情けなく思った。

 彼は悪くない。疑ってもいない。

 悪いのは全部私だ。彼の好意に甘えて、きちんとお金を返していなかったこと。

 それに、人目につくところで無防備に彼と一緒にいたこと。

 これまでのことを反芻すれば、多くの人がそう思ってもおかしくない。

「やれることからやろう」
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