美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「いらっしゃいませ。あ、神崎様。お待ちしておりました」

「ああ」

 店に入ってきた蓮を見て、さくらは感嘆した。さっきのプライベートの時に見せた感じとは違う。

 これが本来の彼の姿なのだろう、ものすごいオーラを感じる。

 黒いロングコートを着ているがとにかくセレブという雰囲気が漂う。お会計のことを言うのを忘れて彼に見とれてしまう。

「どうした?」

「あ、すみません。とてもステキなので……これじゃあ、花があっても中々通じないかもしれませんね」

「え?やめてくれよ。この花たちには期待してるんだ。この金額に見合った働きをしてもらわないとな」
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