美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
三日後。
名取さんから彼に渡す書類が送られてきた。彼に黙って返しに行くと絶対トラブルになる。一応伝えておくだけはしようと連絡した。
「いらないと言っただろ。それに明日は無理だ。朝から出張なんだよ」
「別にあなたへ会いにいくんじゃないんです。椎名さんは残られますよね」
「……さくら、お前何考えてる?」
「だから、椎名さんにお渡しするんです。実務は彼でしょう?」
「どうしてこんな急に……」
「それより、約束の来週末は大丈夫なんですか?」