美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
急いで話を逸らす。
彼から久しぶりにオーベルージュで逢いたいと言われた。あそこは会員制のレストラン兼宿泊施設。
セキュリティに優れていて、人目を気にする今の私達にはぴったりだから選んだんだろうと直感した。
「それは何が何でも行く。どれだけ逢ってないと思っているんだ……」
「会ってはいますよ。一瞬だったりするけど、この間も店の前を通り過ぎるときに車から顔を見せてくれたでしょ」
「うー、さくら……何を言ってるんだ。あれは関係ない」
「ごめんなさい。私もすごく楽しみにしています」