美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
第六章 愛すればこそ

光と決意

 
 彼との逢瀬の前に、一本のメールが私を光の道へ導いた。

『清水さくら様 当コンクールにおいてご応募いただきました作品が優秀賞を獲得されました。おめでとうございます。受賞にかんする詳細につきましては、次ページにまとめてありますのでご参考ください。つきましては、お仕事のご案内をさせていただきたくご連絡さしあげました』

 まだ、ブラッサムフラワーで働いていたころに出したフラワーアレンジのコンクールで入賞したという知らせだった。

 いくつかの会社が集まって開いたコンクール。名取には悪いが、いずれ独立を目指すにはそれも必要だと考えて、例年個人として出品していたものだ。

 悪意のある噂に悩まされ、芹那さんに店の実権を奪われそうになっていた私にとって、光の道のようだった。
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