美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「大きな声では言えないんですよ、立場もあってね。あなたの家と同様です。ただ、芹那があの店をもらうかもしれないと嬉しそうに話していたから少し心配でね。老婆心でお伝えしました。ご注文のお礼です。お幸せに」

 驚愕した。

 これみよがしに花を届けるためこんな話をするなんてありえない。

 この店長は縁談を知っていて、警告してくれたのだ。林が店を乗っ取る?

 もしかしてさくらの耳に入ったのではないだろうかと恐怖が頭を占めた。

 彼女が痩せたと椎名が言っていた理由……それだったのかもしれないと初めて気づいた。
< 279 / 403 >

この作品をシェア

pagetop