美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

逢瀬

 
 付き合いだして何度か彼とあのホテルの上のレストランで待ち合わせ、海を見た。良ければその後、彼とクルーザーデートをした。

 そして季節は移ろい、すっかり秋も深まった。さすがに海に出るには寒い。

 今度はどこか泊るのかなと少しウキウキとしていた自分が情けない。

 クルーザーで泊まる分には誰にも見られないという彼の考えだったのだろう。

 だが、彼はここベリが丘では有名人でしかも目立つ。レストランで一緒にいるところを数回見られたくらいで、噂になってしまった。

 今回は彼がオーベルージュで逢おうと提案してきた。
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