美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「受賞したし、あなたもこれからね。ぜひ頑張って。今日はオーベルージュを楽しんでくださいね。とある方からご用命があり先ほどお花をお届けしたばかりよ」

 彼女はウインクを残していなくなった。この間とは違う優しい目がそこにあった。

 私が部屋をノックすると、彼がドアを開けた。

「さくら、会いたかった」

「蓮さん、私もよ」

 さすがオーベルージュ。一見しただけでホテルの部屋とは何かが違う。天井が少し高い。広さもあり、全体的に色合いも落ち着いている。

 磨き抜かれた調度品。すべて一流なのは一見してすぐにわかる。
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