美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
私をソファに座らせると、両手を持って正面から私を見た。
「いろいろあったんだろ」
この人は全部わかっていて、話さないでいてくれたんだろう。最初芹那さんの話をしたとき彼に感じた違和感がそれだった。
「……社長から聞きました」
「さくら、君に心配をかけたくなかった。だが、彼女を配属した名取には聞いておきたかったんだ」
「何を?」
「名取が何を考え林のことをあそこに入れたのか、確認する必要があった。あいつは僕の友なのかあるいは敵なのか知らないといけない」