美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「蓮さん!」

「あいつは君も、そしてあの店も自分から離したくなくなったんだな。君が独立したがっていたのは知っていたよ。僕がそれに便乗しているのも危惧して、それを止めるために林を利用した」

「……」

「だが、林に利用されていたのは実は名取だったのかもしれない」

「おふたりに縁談があったこと、知らなかったんだと謝られました」

「……さくら!」

「驚きました。私、今色々言われてます。でもそれは半分以上事実でもある。あなたのお陰で今の私があります」

 彼は私の手をつかんで目の前にしゃがんだ。真剣な目で下から私を見つめて話した。
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