美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「ああ……よかった。さくらが笑った。こんなに痩せて、きちんと食事くらいしろ。椎名も驚いていた。君の心の安定のために一応金は受け取っておいたと言っていた」

 椎名さん……私が聞きたいことに全部嘘偽りなく答えてくれた。感謝してる。

「さくら……縁談は来週にも大臣に直接会ってお断りするから安心しろ。他も鋭意お断り中だ。今のが噂になって、向こうから断られるかもな。却ってそれもいいかもしれない」

「何言ってるの?あなたは大きな会社の副社長でしょ。会社に傷をつけるようなゴシップを許してはダメじゃない」

「ゴシップなのか?君と僕は真剣だよな。面白おかしく書いているのは外野の連中だ。無視すればいい」
< 290 / 403 >

この作品をシェア

pagetop