美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「もう、自分で食べるからいいってば」

「……あーん。はい開けて」

「もう」

 口を開けた瞬間にスプーンが入れられる。嬉しそう。

「美味しい?」

 こくんと頷く。目の前には輝く満面の笑み。もう、これだから勝てない。

 今度は交互に自分の口にもスプーンを入れる。何をしているのやら。最後にはスープを口移しで飲ませてくれた。
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