美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 びっくりした。蓮さんが続けた。

「林に店を任せるとさくらが心配で……君に知られず本当は裏から助けたかったんだ。まさか出ていくとは思わなかったけどな」

 意地悪な目でこちらを見る蓮さん。本当にこの人は……いつも私のことを気にかけてくれている。

「ありがとう。本当に大好きよ、蓮さん」

 椎名さんの前でふたりに満面の笑顔を向けた。

 目の前でそろってなぜか真っ赤になっている。

「……!」「……」

 その日、一年の約束で私はベリが丘を出た。
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