美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「あ、ちなみに今日の清水さんのはその後ですので、2か月後になりますね。出来上がりましたら、事前刷りをお送りしますのでご確認ください」

 私は驚いた。彼にはすべてお見通しでこれも作戦のうちだったのだろうと気が付いた。

 * * * 

 二日後。

 夜、急に彼が私のマンションへ顔を見せた。こんなことは初めてだった。驚いたなどというものではない。何しろインターフォンの画面にたたずむ美しい彼がいた。

 彼は部屋に上がるなり、私を抱きしめ、耳元でささやいた。

「来ないとだめだと思ってね」
< 330 / 403 >

この作品をシェア

pagetop