美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「……え、え?」

「オーベルージュから都内にとんぼ返りしようってんだろ。どうせ泣き付けば僕が許すと思っているな」

「……な、なんのこと?え?」

「一年前僕が言ったことを忘れたのか?」

「忘れていません」

「君を迎える準備を整えておく。逃げても無駄だ。そう言ったはずだ」

「あのね、蓮さん。実は私まだ……」

「さくら」

「だから、ね……聞いて」

 彼は私の口をふさぐと抱き上げてあっちかと一人言うと、寝室へ向かった。

「あ、ね、ちょっと……」

 そしてそのまま抱かれた。今までにないほどの情熱と彼の愛を注ぎ込まれた。
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