美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

空中庭園

 一年ぶりのベリが丘。

 たった一年なのにとても久しぶりに感じた。見るものすべてが懐かしかった。

 出て行ったのはちょうど10月半ばだった。出ていくならその頃にと思ったのもある。

 花屋はクリスマスからお正月にかけては一年で一番忙しい。抜けるのはクリスマスの準備が始まる11月より前にと考えていたのだ。

 彼は10月後半から船での半月以上の長期出張も予定していた。離れるにはいい時期だと思ったのだ。

 伯父のことが心配で、見舞いで半年前に一度だけ戻ろうとした。ところが、伯父夫妻がそろって私のほうへ現れた。アレンジ発表会を見にきてくれたのだ。
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