美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
「神崎様。先ほどはありがとうございました……」
さくらはブラックタイを外しているが正装姿の神崎を見て、頭を下げた。
「ああ、やっぱり。お花屋さんの人だよね。驚いたな」
名取はさくらを座らせると説明を求めるように見た。
「あの、今日アレンジのご注文をちょうだいしたのが神崎様だったんです。夕方取りに来られて観劇に行かれると……」
名取はクスッと笑った。
「そうか、さっき話していた花言葉の花かごは清水が作ったのか?それは最高だな」
「ええ?」