美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「神崎様。先ほどはありがとうございました……」

 さくらはブラックタイを外しているが正装姿の神崎を見て、頭を下げた。

「ああ、やっぱり。お花屋さんの人だよね。驚いたな」

 名取はさくらを座らせると説明を求めるように見た。

「あの、今日アレンジのご注文をちょうだいしたのが神崎様だったんです。夕方取りに来られて観劇に行かれると……」

 名取はクスッと笑った。

「そうか、さっき話していた花言葉の花かごは清水が作ったのか?それは最高だな」

「ええ?」
< 34 / 403 >

この作品をシェア

pagetop