美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 嫌な予感がして口をつぐんだ。まただ。何か考えているんだ。佐原さんは笑顔で私を見た。

「お時間はもうあまりないんでしょ?」

「え?」

「明日も私はシフト入っているので、ぜひゆっくりいらしてください。ご相談もしたいですしね」

 彼女は頭を下げると後ろにいるお客様へ応対を始めた。

 * * * 

 16時過ぎに彼と待ち合わせをしていた。

 オーベルージュのロビーでチェックインしようとしたら、すでに神崎様が上の庭園でお待ちですと声をかけられた。
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