美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 私は庭園をゆっくり回りながら、夕日がきれいに見えるところにある素敵なあずまやに入り、腰を下ろした。

 すると後ろのほうから声がした。振り向くと、会場の入り口から歩いてくる彼が見えた。

 私は立ち上がるとこらえきれず、走っていき彼に飛びついた。

「っ!」

 彼は驚いたんだろう、少しよろめいたが私を抱くとしばらくじっとしていた。

「……逢いたかった、蓮さん」

「さくら」
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