美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「ここに帰ってきた。約束通り帰ってきたわよ」

 彼は私の手を引いて螺旋階段に導くと上に登っていく。

「わあ、すごい。日が落ちていくのも見えるわ。ねえ、蓮さん」

「そうだな。今度は何を願うかな」

「今度こそ願う。あなたとずっと一緒にいられますように……。でも大丈夫。私は離れない」

「本当かな?君はすぐに僕の為とか言っていなくなる。誰もそんなこと頼んでないのにね」
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