美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
まさか、ここに入るの?尻込みしていたら、彼に腕を取られて、いつの間にかエスコートされ店に入れられてしまった。
「いらっしゃいませ」
店員が綺麗に頭を下げて私たちを迎えた。
「これは神崎様。お待ちいたしておりました」
「ああ。できた?」
「もちろんでございます。どうぞこちらに……」
店の奥にある部屋へ通された。すごい部屋。VIP用の応接室だ。革張りのソファに案内され、いつの間にか目の前にはポットの紅茶がお盆に準備されている。
「まずは、お品物をご覧いただきましょう」
ビロードの宝石台に店長がうやうやしく箱から出したその指輪は、見た瞬間釘付けにされるくらいの輝きと美しいデザインだった。そして、大きい。