美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
「いかがでしょう?」
「どう、さくら?ブランドは間違いないものでデザインは僕が君のイメージで選んだ」
「す、素敵すぎて……あの、本当にこんなすごい指輪、蓮さん、私には似合わない……」
「何言ってるんだ」
私は手を引っ込めてぎゅっと握った。仕事柄、水を使うので傷だらけの荒れた手なのだ。
「手が荒れてるの。仕事柄どうしても水や土を使うし、だから、こんなきれいな指輪は私の手じゃ……」
彼は私の左手を持ち上げると薬指に目の前の指輪を通した。
「うん。ぴったりだ。それにとても似合う。君がいうほど荒れてないよ。気になるなら、普段からきちんとケアをしていい薬を塗ろう。すぐに元に戻る。これからは素手であまり仕事をしないようにすればいい」
「……」