美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「ううん。何もかもこうやって準備してくれていたなんて……私、本当に一年で帰ってきてよかった」

「まだ準備していたものの半分以下しか見せてない。驚くのはこれからだ」

「え?」

 ほくそ笑む彼の横顔に、嫌な予感がした。

 連れていかれたのは伯父の家ではなく、そのはす真向かいだった。伯父の家の真向かいは売りに出たと聞いていた。まさか……。

 そこには大きな店が建設中だった。まだ看板が出ていないがどう考えてもこれは……ビジネス街にある店と造りが同じだ。花屋に違いない。奥には冷蔵室やら考え抜かれた配置。応接室もある。
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