美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「もちろんだよ。僕は花屋のしろうとだ。目の前にいる君の伯父さんにご意見を頂いている」

「やっぱり……。前に伯父さんが言っていた通りの造りになってるんだもの。そういえば、昨日ビジネス街の店に寄ってきたの。あちらのことも本当に今まで色々ありがとう」

「そう、聞いたんだね。名取から半分権利を買い取っているのは変わらない。そして、いずれこちらのものにする約束もしてある」

「何から何まで……」

「ね、褒めてくれよ。ひとりぽっちで船を操縦してここまで来たんだ。怒るなよ」

 彼は私の腰を囲い、目の前に連れてくる。目を合わせて小首をかしげて見せた。もう、本当に……。

 彼に抱きついた。
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