美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
挨拶2
迎えの車に乗り込んだ私たちは、伯父夫妻に見送られた。
車はノースサイドとの境にある門の前まで行くとピタッと一旦停まった。守衛さんが車と運転手を見ただけで敬礼し、すぐに門を開けてくれた。
すごい。特別感が半端ない。
入った瞬間からドキドキする。だって、車窓から覗く景色に目が釘付けとなる。見るからにすごい豪邸が並んでいる。
緑豊かな高台に高級住宅や別荘が立ち並ぶ閑静な街並み。大企業の社長や資産家がこの地に住んでいる。
「すごいおうちがいっぱいだわ」
高級車の窓に張り付いて外を見る私と、それに全く興味のなさそうな彼。
「そう?」
私は外を覗くのをやめて、彼のほうを見た。