美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
「椎名、お前相変わらず……ひと言多い」
彼は私の手を引いて中へ入っていく。口元を押さえた椎名さんがその後ろに続いた。
オーベルージュだって洋館で美しかった。でもそれ以上の驚きがあった。ここは何?
日本とは思えない洋風建築。お城?白いお城にしか見えない。彼に手を引かれながらきょろきょろと進む。
そういえば、この神崎邸というのはノースサイドでも有名な洋館として有名だと以前聞いたことがあった。
それにしても洋館ってお城のことなの?これは私の知識の中ではお城です……。驚きすぎて段々歩みが遅くなる。
まさかこんなすごいとは思いもしなかった。
そして、このお城のようなお屋敷に住む御曹司が背中を向けて前を歩いている。