美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「ほおう。お前の名前じゃなく、うちの会社か?」

「ああ。社長に就任してからでもいいかと思ったが、どうせやるなら早いほうがいい。彼女にとってやれることの範囲が増えるだろう。うちの船でしか仕入れられない花を入れて特別感を出す」

「いいんじゃないか。だが、それなら稟議を上げて社内を通す必要がある。覚悟はあるのか?公私混同だと言われて突き上げもあるぞ」

「もちろん。結果を見せてやる。椎名」

 彼は手をたたいて椎名さんを呼んだ。椎名さんは彼に書類を手渡した。

「これが、ビジネス街の二号店のここ一年の経営状態をまとめたものです。僕の融資額とその利益なども詳しく記載しています」

 受け取ったお父様は眼鏡をかけなおしてじっくりとその書面を見つめている。私が見たいくらいだ。
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