美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

ラグジュアリーな結婚

 
 出来上がった本店、ビジネス街の支店、都内にあった事務所を一緒にして『ブラッサムフラワー』という会社を興した。もちろん、彼は共同経営者。でも名目上社長は私。

 私は結局、本店の二階にも自分の部屋を作った。そしてそこで忙しいときは寝起きをしたり、創作する場所を確保した。

 椎名さんは最初この本店の建築の話が出た時に、以前ビジネス街の部屋で寝起きしていた私のことを考えて、二階建てにして、上にプライベートスペースを作って創作活動もできるようにしたらどうですかと彼に提案してくれたらしい。

 素晴らしすぎる。もはや、椎名さんはうちの会社に引き抜きたいくらいだ。

 そして、その夜も彼は私の部屋に来ていた。最近は仕事が終わるとなぜかこちらに来る。結婚したわけではないのに、肩身が狭い。
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