美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
「結婚式は簡単に済ませれば今の君だってできた。だから、とっととすればよかったのに、ぐちゃぐちゃ周りがうるさいからこういうことになる。別々に暮らすなんて僕は我慢ならない」
結局、婚前同居することで了解してもらった。本当は嫌だったんだけど、そうも言っていられない。
彼との婚約は正式に整ったが、結婚式はお家柄もあり、盛大にしないとまずい。
その結婚式までの準備をする時間が物理的に作りづらい状況にあることを、正直に彼のご両親には話した。
実は都内の事務所あてに先々の仕事を頂いていたが、半年の保留期間をお願いしていた。とにかく、いったん戻らないことには彼が許してくれないと思ったからだ。店のことを見極めたら都内の仕事も片付けに戻ろうと思っていた。