美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 私が神崎邸に入ったときから私付のお世話係の女性がふたりついた。

 私は若奥様と呼ばれ、私のスケジュールを把握する秘書のような人と神崎蓮の妻としての服装や身の回りのことを一手に引き受ける人がいた。

 秘書のような人は神崎造船の副社長夫人としての私の仕事とフラワーアーティストで花屋を二店舗経営する社長としての私の仕事を管理している。正直彼女の存在は助かった。

 店はほとんど状況把握をすることが主になった。

 店長は別にいて、定期的に彼女たちとどういう店にするか話し合う。私のほうからコンセプトを提示し、経営者として私の色を出していく。

 時間があれば店には出るが、個人のフラワーアーティストの仕事もあり、難しくなってきた。

「さくら、やはりすぐに籍を入れよう。式は来春だが、対外的にも君は妻だと伝えるよ。いい?」

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