美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
「蓮さん、いいの?お父様やお母様は許してくださるの?」

「いや、もうそうすべきだとずっと言っていた。君を紹介するため連れていきたいところも母はあるようだし、僕も君を同伴できれば色々助かる公式行事が多い。父もそのほうがいいだろうと言っていた」

「私はあなたに従います」

「よし、じゃあそうしよう」

「わかりました」

 彼のインタビュー記事の載った雑誌の記事が出た。ベリが丘ではその噂で一時期もちきりになった。私が戻ってきて店を始めたことも、一年前の噂が本当だったんだと言われ始めた所以だ。

 結婚式は来春で先に籍を入れたことを公表した。ベリが丘の機関紙に取り上げられ、インタビューも受けた。左手薬指に婚約指輪をして、彼と常に行動を共にした。

 出かけるときは必ず上から下までドレスアップして貴婦人さながらだった。私の結婚は普通のものではないと最近わかってきた。
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