美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「今だって十分毎日がクリスマスよ。このラグジュアリーな結婚生活。本当に夢の国みたい」

「だから、夢の国じゃないとあれほど言ってるだろ。何しろ、両親は毎年クリスマスイブにオーベルージュで食事してそのままいつもの部屋へ泊ってくるんだ」

「そうなの?お二人は本当に仲がいいわね」

 お二人は、記念日はもちろん、イベントのある日は必ずと言っていいほどお出かけになり、ふたりでロマンチックに過ごす。

 それでなくても、日々このロマンチックな洋館で目のやり場に困るくらいラブラブでお過ごしだ。彼が人前にもかかわらず、平気で私に甘い言葉を囁いていたのは、きっとこのご両親の元で育ったせいなのだ。

「他人事みたいになんだよ。僕らは新婚なんだぞ。いつものホテルのスイートを予約してある。イブはあちらに泊まるぞ」

「ええ?!」

「君はこの時期ビジネス街の支店にほとんどいるだろ。あそこからホテルは近いから、仕事終わりにすぐだ」

 チュっと音を立てて私の唇にキスをする。あっけに取られて彼を見る。

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