美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

蓮はさくらに笑いながら言った。

「清水さん、君って名取の懐刀でもあったのか?」

名取さんがフッと笑う。

「それはそうだ。でも最近いなかったからすっかり忘れてた」

「すみません……ずっと名取さんのところのお仕事できなくて。普通ならとっくにクビですよね」

「まあ、半年以上うちから給料払ってないからな。じゃあ戻ってくる決心がついたのか?」

「伯父の病状もあまり変わらないのと、店も赤字ギリギリなんです。伯母は店を畳む覚悟のようでアレンジメント教室を通じて周辺のお花が好きな人を発掘できればと思ったんです」
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