美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 名取に電話がかかってきた。彼は立ち上がって外へ出るため席を外した。

 蓮はさくらを見て言った。

「清水さん……君、名取に言えないこともあるだろ。本当は今の店をどうしたいの?」

 さくらはびっくりして蓮を見た。

「……神崎さん」

 連は頬杖をついて彼女を見ている。目の奥が優しく光った。

 この人の魅力はセレブで美男子だというだけではないと今わかった。相手をよく見ているんだろう。

 絶妙なタイミングで切り込まれた。これは隠せないとさくらは腹をくくった。
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