美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 私はあっけにとられて神崎さんを見た。彼は私を見てウインクする。嘘でしょう。

 名取さんは口をぱくぱくしている。こんな名取さんは初めて見た。神崎さんの言葉はきっと当たっていたのね。

 名取さんの周りにはいつも女性がいる。花を扱うのでモテるのかと思っていたが、そういうことだけじゃなかったのね。

 要するに彼も花のような女性が積極的に好きだということか。

 以前私を口説いてきたとき、さすがに冗談だと思ったけど、この軽さだと半分本気だったのかもしれない。でも二股は遠慮したい。断ってよかった。

「清水さん。たまには社長のために花かごをアレンジをしてあげたほうがいいね。この仕事をしているんだから、お相手は花言葉に詳しいだろうし、名取は自分で片付けられないなら彼女の手を借りるといいぞ。実に円満解決だ」
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